3分でわかる絵本
あまり年齢のことは話題にされたくないのである。
私の日本の友人H君がイギリスに旅行して、一番驚いたことは、イギリスの女性が「くわえたばこ」で歩いていることだったそうだ。
「若い女性がたばこを吸いながら道を歩いているので、びっくりしたよ」シティにヘビースモーカーが多い。
彼は医学博士で、ある国立大学の教授をしている。
そして、大変な愛煙家だ。
「医者のくせにたばこをそんなに吸っていいのか」と私は言うのだが、彼はまったく意に介さない。
「医者の不養生」の見本のような男だ。
その彼も、イギリス人女性の「くわえたばこ」にはいささかあきれたらしい。
確かにロンドンには、歩きながらたばこを吸っている女性が多い。
昨今、日本のOLにもスモイギリスの企業には、「仕事の主体は男性で、女性はアシスタント」という構造はなく、男女は対等に扱われるから、女性は酒もたばこも遠慮はしない。
実際、仕事の後に同僚たちとパブに行っても、彼女たちはよく飲むのである。
そのようなイギリスであるが、世の中の大勢は「禁煙」の方へと動いている。
レストランも、スモーキングとノースモーキングの席に分かれているし、いうまでもなく前者の席の数は少ない。
それどころか、会社の建物全体が、ノースモーキングになっているところも多い。
よくシティの大きなオフィスビルの出入り口あたりで、何人かの人がたむろして、たばこを吸っているのを見かける。
そこには灰皿も用意されていて、吸殻で周囲が汚されないようになっている。
彼らは、何も世間話をするために集まっているのではない。
たばこを吸いに来ているのだ。
シティでも、オフィスの中では「絶対禁煙」という方針を取る会社が増えている。
喫煙家にはきびしいが、今や「禁煙権」の方が圧倒的に強い。
それでも、どうしてもたばこを吸わずにいられない人は、たばこを吸いに、わざわざエレベーターに乗り、一階(イギリス流にいえばグランドフロア)まで降り、ビルのドアの外まで出るのである。
日本では、マンションのベランダでたばこを吸う「蟹族」というのがあるらしいが、日中、ビルの外まで出てたばこを吸うこのような連中は、何と呼べばいいのだろうか。
それは、ある意味で奇観である。
幾人かの女性がたむろして、所在なげにたばこをふかしているのを見ると、まことに失礼ながら、つい街頭に立つ特殊な商売の「夜の女たち」を連想してしまう。
そうまでして吸いたいだろうかと、ノンスモーカーの私は思うのである。
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